「桐たんす」について
昭和30年頃、多くの家には桐たんすがありました。昭和の初めの頃 、女の子が生まれると庭に桐の木を植え、その子が結婚する時にその桐の木でたんすを作り嫁がせたという風習がありした。そして全国には数多くの工場が出来、たくさんの桐たんすが製造されました。現在は、生活様式も変わり当時と比べると桐たんすの需要は減り職人もかなり減りました。昔は、衣類の収納の道具に使われていましたが、現在は道具に美術的な工芸品の要素が加わり、当時の桐たんすから比べると豪華で美しい高級品になりました。
桐たんすの形式も時代とともに変わり、約60年前は大量生産の時代で現在の桐たんすと比べると小振りで板厚も薄く簡単なつくりが多かったです。
その後、今から約30年前になりますとバブル景気もあり着物を入れる豪華な衣装たんすや毛皮のコートを入れる洋服たんすがよく売れました。
その頃、私は春日部にある工場で修業をしていましてその会社は日本橋三越や日本中の名立たる高級百貨店との取引がありました、工場では一点3百万円から5百万円くらいの桐たんすが多く作られ、時には1千万円以上の超高級桐たんすも作っていました。
現在は、生活様式も変わりましたがやはり桐たんすの一番人気は着物を入れる衣装たんすです。その他にも高さが低めの桐のチェストもよく売れています。
桐たんすの仕上げ方法も以前は、砥の粉仕上げが多かったですが、最近は、砥の粉仕上げ(写真1)の他にガスバーナーで表面を真っ黒く焼いて木目を出す焼仕上げ(写真2)や、汚れに強いオイル仕上げ(写真3)や、高級感が漂う漆仕上げ(写真4)など洋間に合う仕上げ方が増えてきました。